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オレは無機質な床を蹴って、フワフワと通路を漂っていた。
パイプ剥き出しのその空間は0.2Gに保たれており、移動するには少し蹴りだすだけで十分だった。
オレがこのレスリオン級戦艦に配属されてから多分、3ヶ月くらい経っただろうか?
鮮やかなパープルに彩られ、独特な流線型がクールな戦艦だと思う。
バララント第伍パトロール艦隊所属、戦艦ポタント
コレがこの艦の名だ。
この艦の任務は、ギルガメスとの宙域を隔てるアステロイドベルト(小惑星帯)周辺のパトロールである。
このアステロイドベルトは、元は‥えっと…なんとか?っていうギルガメス陣営側の惑星だったらしいが、第三次銀河大戦中期の恒星間ミサイルの応酬で文字通り宇宙の塵となったそうだ。
言ってみたら、宇宙の墓場かな?あの石っころひとつひとつが墓標みたいなもんだ。
星の名前が思い出せねぇな‥‥。
んで、ギルガメスってのは我がバララントと敵対する勢力で、このアストラギウス銀河の覇権をかけて百年も戦い続けている。
戦う理由?……ギルガメスの奴らが喧嘩売るからだろ?
ま、つい最近停戦となったところだけどな。
停戦の決まる前から、この宙域ではほとんど交戦がなく、まったくもって暇な任務である。
そして今日は、3日おきに廻ってくる長距離哨戒任務だ。
型式№BーRAC-08 ATキャリーでアステロイドベルトの中を散歩する。 と言ってもオレはATキャリーの下にぶらさがってくっついていくだけなんだが。
要はATキャリーのお守り兼雑用係だ。
ATキャリーってのは、AT(Armord Troper)を一機、お腹に張りつけて飛ぶことのできる哨戒機だ。
ロケット推力で飛び、宇宙ではもちろん、大気圏内でも運用可能な優れ物だ。
ちょいデカイのが玉にキズだけどな。
しかし、今日は少し心配だ。
それは‥
ほら、今目の前で敬礼してるアイツのことだ。
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