哨戒任務

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格納庫でオレはあらためてアイツと敬礼を交わした。 「ニールギリアム曹長だ。‥えっとぉ‥」  「グレイ伍長です!ニールギリアム曹長」 ずいぶん元気が有り余っているようだ。オレは少しゲンナリして一言いった。 「ニールでいい」 「はい!ニール曹長。よろしくお願いします!」 「フッ  いくか」 オレは顎を少し動かして、ATキャリーへ搭乗を促した。 アイツはあたふたと宙を舞ってキャリーのコクピットに向かった。 そしてオレも、ATキャリーの下にぶら下げられたフロッガーに向かってフワリと飛んで、コックピットにすっぽり納まった。 オレの愛機は鮮やかな緑に赤いラインの入ったAT(Armored Trooper)だ。 全高4mほど。二足歩行が可能な1人用装甲車といえばわかりやすいかな? 流線型のボディがカバの口みたいにバックリ開くとシートがある。コクピットだ。 そのボディに、太い手足とハンバーガーみたいな頭部がついてる。背中には大きなバーニアがついてるが、今はATキャリーにくっついているので見えない。 ATは今じゃ主力兵器だ。 汎用性が高く、コストも割安であらゆる局面に対応できる。 それで大きな戦果を上げられるが、代わりに搭乗者の消耗が激しい。 つまり、安全性や快適性はまるっきり無い。 おまけにATの駆動源となるマッスルシリンダーにつかわれているPRLは可燃性が高く、チョッとの火花でもすぐ“ドカン”とくる。 ヘタすると銃弾一発でも即、あの世逝きだ。 このシートに座るたびに、なんか…棺桶に詰め込まれたみたいな気がして、気が滅入ってくる。 いい加減、勘弁してほしいぜ。 オレはゴツいヘルメットを被り、フロッガーのハッチを閉じると、通信機でアイツに話し掛けた。 「こっちはいつでもイイ」 すると、緊張で少し上ずった声が耳に響いた。 「了解しました!只今発進許可をとります!」 「ぁあ…、よろしく」 オレは答えながらイヤホンのボリュームを下げた。 それから5分後、 墓場に向かって発進していた。image=338503079.jpg
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