「美桜」

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「まぁまぁ美那子さんおちついて…」 ちなみに美那子ってのは母さんの名前だ。 「玲くんあのね、 私たちお隣に引っ越してきたのよ。 だから美桜のことよろしくね?」 『はぁ、こちらこそ…… ……って隣に!?』 確かに隣は空き家だったけどそんな急に引っ越してこれるもんなのか? 「ふふっ驚くのも無理ないわよね。 家具は私の実家に8年前に置いていったものが昨日届いたのよ。 住むのも今日からで、 昨日まではホテルに泊まってたから…」 『そうだったんですか。 でもいつ隣に住むって決めたんですか? 不動産とかいろいろありますよね?』 「ああ、それはね…」 「ママ! それは私が話すから。 れいちゃんっ」 ぐいっ 美桜は俺の耳を口元に引き寄せて、 ボソッ 「私、れいちゃんのお部屋に行きたいなぁ」 当然俺の顔は一気に真っ赤になる。 事ある毎にこんなことされると俺の身が持たねぇよ… 『わかったから… 離れてくれ……』 母さんたちがニヤニヤしながらこっち見てくる。 俺は逃げるように美桜を連れて二階にある自分の部屋に向かった。 今日は… 一体なんなんだ…?    
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