ヒ アイ

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  だから私は、次に彼がどんな顔をするかも、想像がつく。 「…真希の一番になれないなら、私は一番になれる人を探す」 はっと真希は顔を上げて、青ざめた顔を更に青くする。 「真希も、二人も無理でしょ。人間ね、一人以上人がいたらどうしても優劣を作っちゃうもんなの。 真希が真夜ちゃんを好きなら、私は別の人を探す」 「それって…別れ話だよな」 「うん」 嫌だとでも叫びそうな顔。 でも叫んだらもっと私を懲らしめてしまうからどうしても言えない、という感じの顔。 それでも、私を離したくない顔。 笑えるほどよくわかる。堪えたけど。 私は酷い人間だから、残酷なほど優しい彼を追いつめてあげる。 そう、気付けばいいの、これで。 世の中甘くないって。 優しさだけじゃ生きていけないって。 博愛なんて人間には無意味であり皆無だって。 私は酷い人間だから、最後まで笑ってあげる。 一世一大の女優を演じてあげる。 馬鹿な女になってあげる。 「私も、好きだった。愛してた。 だから離れるんだよ。真希が疲れて倒れないために。ちゃんと一人を愛して、幸せになるために」 全ては、私を裏切った心優しい俳優のために。  
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