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ベッドが軋む。
一定のリズムを保ちながら、オルガズムを待つ。
隣には彼の弟が眠っているから、わざと私はシャツで口を塞いで、声が出ないふりをした。
こういう行為を気持ちが良いとか、快楽だとか言うらしい。
人間だけだそうだ。己の快楽の為だけに情事をすることは。
「さ…あや…」
彼の顔が歪む。
最高潮に襲われているのか、リズムが早くなった。
早く終わればいい。
私の感じない身体で、彼だけで感じればいい。
行為をすればするほど虚しくなる気持ちを、することで空っぽにしてくれればいい。
不感症という訳ではない。
ただ、彼には何も感じない。
────早く終わってしまえ…
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