ヒ アイ

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  彼──真希は銀のナイフのように美しい。 切れ長の目に、筋の通った鼻、髪の毛を整えてはいないと言っていたけれど、彼に合う長め。 有名だ、大学の中で。 『イケメン』は沢山いても、『美形』は少ないものだから。 『格好いい』よりも『綺麗』が似合う男なんて少ないだろう。 そんな人気者の彼の家に、私は月の半分は来ていることになる。 真希に抱かれる事を望んでいる人は大学中で何十人、何百人いるだろう。 その綺麗さで、彼に近付けない人の方が多いだろうし。 綺麗過ぎて、更に冷静沈着。そして頭脳明晰。 『才色兼備』という言葉は彼の為にある。 神様はズルい。 女の私には渡さなかった美しさを、彼に捧げたのだから。 そして、彼の肩に手を置いて私の目にちらつく、綺麗と評判の彼女にも。 私には与えなかったものを沢山兼ね揃えている。  
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