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「…真希、真夜ちゃんが好き?」
「いや、…う、違う」
「いいよ素直に言って」
真夜に恋した。
真夜も愛してしまった。
どっちだったか忘れたけど、そう打ち明けた彼を私ははり倒した。
打ち明けた事だけは誉めてあげたけれど。
押し倒して、泣きながら殴り続けて、理由を聞いた。
『一番二番とかじゃなく、二人とも好きなんだ』
そう言ったのを、私は生涯絶対忘れることはないだろう。
浮気を正当化した素晴らしい言葉など、一生かけてももう二度と聞くことはないかもしれない。
天秤にかけろと怒った私の涙は、彼にとっては予想外だったらしい。
慌てふためいた彼は、その翌々日くらいに真夜ちゃんとの愛を割り切ったみたいだった。
私にバレないように、どうやら三ヶ月くらい隠し通したらしい。
気弱なこの男は、それを罪に感じて打ち明けたのだろう。
その時気付いた。
恋愛は重さであって、時間じゃない。
気付いたというよりも、彼によって気付かされた。
そして、
「……好きだ」
今も。
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