平安時代

2/3
前へ
/84ページ
次へ
月が輝く夜空で紫の雲が棚引く。その下の屋敷で、怒鳴り声が響く。 「小春はまだ見付からないのか!」 「申し訳御座いません!只今捜索途中で…」 「早く捜せ!」 「朱雀…少し落ち着け」 「父上……。ですが小春が…」 「すぐに見付かる。都中で捜しておるのだぞ」 「ですが…、もう一ヶ月も…、もし他の男に誘惑されたりされては、あの子ならほいほいと…」 小春の美しさは都一と言われている。彼女を狙ってる男は何人も居る。ついこの間は男が押し寄せたというではないか…。 「私はこの屋敷で待つだけなのか…」 「朱雀…。安心しろ、必ず陰陽寺の娘は連れ戻す」 朱雀の父が励ます。 だが一体何処へ行ったのだろう。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加