216人が本棚に入れています
本棚に追加
「消えるな…」
俺は、いつの間にかそんな事を口走っていた。
考えてみれば意味がわからない。
明日になれば会えるじゃねぇか。
なのに何でいま?
そうすると、高杉が俺に抱き着いてきた。
「何言ってんだよ先生」
そう耳元で呟いて元に戻る高杉。
「だっだよねー銀さんいきなり何いってんだろー明日会えるのにな」
俺はこの時照れて下を向いた事を後悔した。
もしこの時コイツの顔を見ていたら状況は変わっていたのかも知れない。
「銀八…好きだ」
今さら何を言い出すのかとおもった。
だけどコイツの真っすぐな視線を見たら冗談とは考えられなかった。
「あぁ知ってる」
そういって俺らは笑った。
そして夕方が夜にかわろうとする。
「晋助。また明日」
俺は帰り際に高杉に手をふる。
「あぁ」
高杉が……
俺についた最後の“嘘”だった。
最初のコメントを投稿しよう!