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この瞬間が何時までも続いて欲しいと思ってしまった俺、自分で唇を離す事が出来なかった。
優真「一…、一?」
俺「…………」
その場に倒れた俺は天井を見ていた、誰の声も耳に入って来ない上に視界も悪くなって来た。
完全に見えなくなる前に誰かが手を握ってくれた気がする、そう言えば昨日から何も食べて無かった。
~*~
*「目、覚めた?」
俺「うっ……」
視界が霞んでよく見えない、消毒薬の臭いがする場所にいるようだ。
*「貧血と軽い栄養失調だってさ、いったい何したらこんなになるのか…」
手足が動かない、隣にいるのは菖なのか愚痴が聞こえてくる。
菖「何で私があんたみたいなの看病しなきゃいけないのよ…、家族がいないのは知ってるけど……」
俺には家族が居た記憶が無い、多分だが菖は俺の家族の何かを知ってるのだろう。
菖「何が皆に優しいよ…、私には…優しくないくせに…」
忘れていた何かを思い出しそうになる、しかし頭痛がひどくなり意識を飛ばしてしまった。
~*~
次に起きた時には体が軽かった、隣には手を握ったまま寝ている優真の姿があった。
俺「体が…軽い…」
優真「んうっ…、一?おはよう、一」
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