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手にした地図を開く前に、恭次が当たり前の質問をしてきた。
「んで?何でここな訳?
恋達の母校だろ?」
「そう。小学生の頃、クラスでハムスターを飼ってたの。
2匹いたんだけど1年くらいで2匹とも死んじゃって、それをこの裏庭のあそこに埋めてお墓を建てた」
あそこ、と言いながら私は銀杏の木と真反対側の小さな墓標を指さした。
「この木はね、当時クラスですごく流行ってた缶蹴りをやった時に、樹音が登って身を隠してたら最後まで見つからなくて、缶を蹴って大逆転。
みんな騒然としたよ。まさかこんな所に隠れてるなんで誰も思わなくて」
あの時の思い出を簡単に恭次に説明をすると、へー、と納得したように頷いた。
「そんで『2匹のハムスターが眠る、缶蹴りの木』ってゆーのが、小学校のこの場所だったんだ」
1人言のように呟いて、恭次は納得した。
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