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「レイカ!助けてくれ!」
蓮先生の第一声はそんな言葉だった。今にも泣き出しそうな程不安な表示をして。
「どうしたんだ蓮?お前らしくないぞ」
レイカさんは若干ではあるが驚きの表情を見せ、それでも長年の友人を愛しむ瞳で優しく受け答えする――
と思いきや、俺達の方を向いて蓮先生の簡単な説明をしてくれた。
「私と志郎は同じ高校なんだが、実は蓮も同じ高校なんだ。蓮とはその頃からの友人でな。実は蓮が教師になる時に桜木じいさんのコネを使って白栄に誘ったんだ。私は白栄に来るまでに少々時間がかかってしまったが、今は同じ職場で働く事ができて嬉しいんだぞ」
「「そうなんですか~」」
乙葉と2人でハモりつつ相づちをうつ。最早俺と乙葉のユニゾン率は熟年夫婦の域と言ってしまってもいい。
朝の食卓で「とって」と乙葉に一声かければ「お醤油ですね」と名詞もなしに意思の疎通ができるに違いない。
「それで、久々にプライベートで会ったのに“助けてくれ”とは、何があったんだ?」
「と、兎に角助けてくれ!もうどうしたら良いか分からない!」
藁をも掴む勢いで身を乗り出す。修学旅行からの一件で蓮先生の認識が変わりつつあるが、今日のこれはその要因としてもかなり大きい。
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