14228人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん、何?」
味噌汁を口へ運ぼうとすると、その手を止められる。
「あ、ああ、あ~んしても良いですか?」
目に突き刺さる勢いで自分の箸を俺に向ける。箸の先が俺の目をとらえているせいか脅迫に見えなくもない。
「う、うん。それは嬉しいけど、味噌汁はあ~んできないからとりあえず呑ませてくれないか?」
「す、ずびばぜん゛」
「噛みすぎだろ。“ん”まで噛むなんてある意味器用だな」
「そうですか?ありがとうございます」
褒めたつもりはないんだけど……まあいいか。
俺が味噌汁をすするとスタンバイしていましたと言わんばかりにお米を箸でつまんで差し出してくる。
「あ~ん」
「あ~ん」
レイカさん達が見ている前でバカップルだとは思ったが、それはレイカさん達も同じ事で……
「ほら志郎、口移しだぞ。あ~ん」
あっちはそれ以上だった。そして見なかった事にしよう。
「あ~ん」
尚も続くあ~ん。これに正式な呼び名とかってあるんだろうか?
「あ~ん」
あ~んをしてもらってる俺よりもあ~んしている乙葉の方が嬉しそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!