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「…………は?」
全てを話し終わった後、慎二の第一声がこれだった。
「わかってる?慎二が一番責任重大なのよ!」
興奮しながら話すあたしの頭を、慎二はポカッと叩いた。
「お前は馬鹿か!そんなの俺らが口挟んでいい問題じゃないだろ!!」
「なんでよ!!学校に来させてあげてって言うだけじゃない!!」
「それが余計だって言ってんだ!大体、何で俺がそんなこと言わなくちゃならなっ」
慎二の台詞はそこで途切れた。
恵美ちゃんが、ものすごく怖い顔で、慎二の胸ぐらを掴んだからだ。
あ、慎二ちょっと浮いてる。
「海原君。貴方の一言で神宮寺さんの運命が変わるのよ。行きなさい」
女の子ってこんな声出せるの?って思ったほど、恵美ちゃんの声は低かった。
慎二は冷や汗をかきながら、顔がひきつっている。
春人さんは、慣れたのか、涼しい顔でその光景を見ていた。
「海原君、行ってあげなよ。減るもんでもないしね」
春人さんが、胸ぐらを掴まれている慎二の肩に手を置くと、慎二は悔しそうに春人さんを睨んだ。
春人さんは、そんな慎二の視線に、笑顔で答えている。
そんな時、恵美ちゃんが声を震わせながら口を開いた。
「あたしもね……馬鹿兄貴が馬鹿みたいに過保護でね……超シスコンなのよあいつ。彼氏が出来たって言ったら、相手をボコボコにするとかほざいたから、兄貴をボコボコにしてやったけどさ……もうほんっと何するにも理由聞いてくるし、何度生まれた事を後悔させてやろうと思ったか……ああもうイライラするっ!!!」
そう言うと、恵美ちゃんは、慎二から手を離し、春人さんを投げ飛ばした。
「何で僕っ!?」
すごい音と共に、吹っ飛んだ春人さんに哀れみの視線を向けると、恵美ちゃんは、慎二を軽く睨んだ。
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