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「どうしたんだよ!?何があったんだ!?」
うるさい……
誰のせいでこうなったと思ってんだよ……
本当なら慎二を殴り飛ばしたい。
でも、喧嘩じゃコイツには適わない。
お前、弱点ないの?
慎二は俺の肩を掴んで、心底心配している表情で聞いてくる。
お前の方が泣きそうになってんじゃねえか。
俺は慎二に見えないように口元を緩めた。
「助けてくれ慎二…」
やっと口を開いた俺は、泣きながら慎二の肩を掴んだ。
半分本音で半分嘘。
まるで俺そのものみたいだな。
だから誰にも信用してもらえないんだろう。
皆、俺の本性を見抜いてるだろうな。
見抜けてないのは慎二だけだ。
唯一、信用されてる人間を嫌いになって、俺はどうすればいい?
もうわかんねえや。
「明里が……」
「明里……?お前の彼女か?」
明里の名前を出すと、慎二は不思議そうに首を傾げた。
コイツ俺の彼女の名前も覚えてないのかよ。
まあ興味ないよな。
少し馬鹿らしくなって、思わず笑いが漏れた。
慎二は顔を歪めると、俺に問いかけてきた。
「なあ、明里がどうしたんだよ……?」
さっきより強い風が俺達を揺らす。
なあ、お前、俺の親友だよな?
親友の為なら何でもするよな?
だったらさ
消えてくれ。
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