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「大和が………明里の事……」
ここまで言えば勘のいい慎二は気づいただろう。
だんだん顔を歪めて唇を噛んでいた。
あっさり信じるんだな。
俺は他人事のように見ていた。
「………それ、本当か…?」
「ああ……見たんだ……」
大和には、後で明里と遊ぶように細工しておけば、大和が馬鹿な事を口走らないだろう。
あいつは女癖が悪いから、明里とだって平気で寝るだろ。
もう、明里に何の気持ちもない。
慎二が好きなのに俺と付き合ったりしたんだ。あいつはただの尻軽だろ………
………改めて恋って怖いと思う。
前は本当に好きで、嫌な所も全部ひっくるめて好きだった。
なのに、裏切られたってわかった瞬間、悪い所しか見えない。
最低な奴にか思えないんだよ。
自分で自分が怖くなる。人間不信になりそうだ……
急に気持ち悪くなって、口を手で押さえた。
慎二が慌てて、俺の背中を擦ったりして心配してくる。
……頼むよ。弱ってる時に優しくしないでくれ。
お前を許してしまいそうになる。
いっそ「ざまあみろ」って馬鹿にしてくれよ。
そしたら俺は楽になれるんだ。
優しくされたって苦しいだけなんだよ……
涙がもっと出てきて情けない位に泣いた。
もう後には戻れない。慎二は何も悪くないってわかってる。でも、止まらないんだよ。
明里より慎二が憎い。
俺は壊れてる?
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