第3話

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「大和が………明里の事……」 ここまで言えば勘のいい慎二は気づいただろう。 だんだん顔を歪めて唇を噛んでいた。 あっさり信じるんだな。 俺は他人事のように見ていた。 「………それ、本当か…?」 「ああ……見たんだ……」 大和には、後で明里と遊ぶように細工しておけば、大和が馬鹿な事を口走らないだろう。 あいつは女癖が悪いから、明里とだって平気で寝るだろ。 もう、明里に何の気持ちもない。 慎二が好きなのに俺と付き合ったりしたんだ。あいつはただの尻軽だろ……… ………改めて恋って怖いと思う。 前は本当に好きで、嫌な所も全部ひっくるめて好きだった。 なのに、裏切られたってわかった瞬間、悪い所しか見えない。 最低な奴にか思えないんだよ。 自分で自分が怖くなる。人間不信になりそうだ…… 急に気持ち悪くなって、口を手で押さえた。 慎二が慌てて、俺の背中を擦ったりして心配してくる。 ……頼むよ。弱ってる時に優しくしないでくれ。 お前を許してしまいそうになる。 いっそ「ざまあみろ」って馬鹿にしてくれよ。 そしたら俺は楽になれるんだ。 優しくされたって苦しいだけなんだよ…… 涙がもっと出てきて情けない位に泣いた。 もう後には戻れない。慎二は何も悪くないってわかってる。でも、止まらないんだよ。 明里より慎二が憎い。 俺は壊れてる?
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