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「でも、心配しなくていいよ。ちゃんと明里と話し合って俺が解決する。何もしなくていいんだよ」
こう言えば、慎二がしばらく何も出来ないのを見計らっての言動だった。
………話し合いなんてしないよ。
今、面と向かって話せば、明里を殺してしまいそうになる。
あいつの『裏』を見たんだ。俺も『裏』を見せたって構わないだろ?
案の定、慎二は悔しそうに「……そっか」と呟いたきり、何も言わなくなった。
俺は、作り笑いをしてフェンスにもたれ掛かり、空を見上げた。
何が正しくて何が間違ってるのかわからない。
一つ言える事は
俺は慎二を地獄に落とそうとしているって事だ。
……この時に、慎二が本気で俺の事を嫌って怒鳴り散らしてくれれば、俺も怯んで何も実行しなかったのかもしれない。
俺は臆病だから、慎二の優しさに甘えて、最悪な選択肢を選んだ。
俺は、泣きながら目を閉じた。
―――――それからは簡単だった。
大和に明里を紹介し、二人を遊ばせた。
大和は、顔はそんなに悪くなかったから、明里も誘われて断らなかった。
そして、慎二にそれを話して、後は慎二に任せた。
慎二の性格上、大和に喧嘩を売るのはわかっていたからな。
後は知ってるだろ?
そして、俺の思惑通り、慎二の評判は下がっていった。
その後は笑える位に、俺が望んでいた展開だった。
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