第3話

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「慎二……」 それから、慎二は完全に自分の近くに、誰も近寄らせなかった。 俺が近づいても、自分と一緒にいると、俺が悪く見られる事を恐れて、話すのも許してくれなかった。 「ははっ……」 誰もいない教室で、自分の机の上に座り、意味もなく笑った。 あちこちから聞こえる慎二の悪口。 それが異様に心地よかった。 だってさ、あんなに慎二慎二うるさかった女達が、手の平返したように慎二を罵倒するんだ。 笑っちゃうだろ? 俺は、完全に人間不振になった。 所詮は慎二の顔しか見てない女達や、今まで慎二の事を恐れてた奴等が、大和を盾にして調子に乗るんだ。 もう慎二は、誰の邪魔もしなかった。 同時に、俺は誰も信じられなくなった。 慎二が壊れたと同時に、俺も壊れた。 でも、慎二は俺の事を嫌ってない事はわかっていた。 俺は、表面上は慎二に優しくしていたからな。 馬鹿な慎二。 お前を壊したのは俺なのに。お前の人生めちゃくちゃにしたのは、心配そうに演技している、目の前の人間なのに。 な?誰も信じられなくなるだろ? 自分も。 「あっはっはっは!!!」 俺は、壊れたように笑った。 これで、俺は幸せになれた? 答えなんて考えなくてもわかる。 だって、勝手に涙が出てくるんだ。 嬉しいからじゃない。悔しいからじゃない。 「うっ……!」 悲しいからだよ。 俺は、もう誰も信じない。 人間の醜さは、俺が一番よく知っている。 本当に滑稽だ。
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