第3話

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「………春樹」 慎二が静かに口を開いた。 春樹さんは肩を竦めたけど、すぐにまた慎二を睨んだ。 慎二、今どういう思いしてるんだろう? 何を言うつもりなんだろう……? 今の春樹さんに煽るような事を言うと、大喧嘩になりそうで怖い。 あたしは慎二をじっと見つめた。 「俺、どうしたら良かったんだよ…?」 慎二は真剣な表情で春樹さんを見た。 春樹さんは戸惑いを見せた。 あたしは、涙が出てきて、顔に手を当てて必死に堪えた。 本当に慎二はどうしたら良かったんだろう。 そんなの誰にもわからない。 でも、慎二は何も悪くない。 それだけは言える。 「明里が俺を好きで、それで俺を恨むのはわかる。でも、恨まれたって俺にはどうしようもできない。なあ、どうしたら良かったんだよ?」 「……………っ」 春樹さんは、息を呑んで黙った。 「お前の望み通りになっただろ?なんでまだ俺を潰そうとするんだよ……」 春樹さんの手が少しだけ震えていた。 春樹さんは、今どんな気持ちなんだろう…… あたしは、見ているしか出来なくて、自分の無力さに心の中で舌打ちをした。 「春樹……」 「………さい……うるさいうるさいうるさいっ!!!」 急に春樹さんは叫び、慎二から手を離し、地面に膝をついた。 「そんなの俺が聞きたいよ……どうすれば良かったんだよ……」
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