第3話

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春樹さんの弱々しい声が聞こえてくる。 慎二は黙って、悲しそうに春樹さんを見下ろした。 「ただの八つ当たりってわかってた……悔しくて悔しくて、お前を潰す事しか頭になかった……でも、後悔したんだ……だから手遅れだったけど、反省したつもりだった。 でも、久しぶりにお前を見たら、また俺の中で黒い感情が出てきて………」 涙が地面に落ちる。 春樹さんは泣きながら話した。 あたしは、春樹さんを責められなかった。 一番悪いのは明里さんじゃないのかな…… でも、誰が悪いのかなんて考えても仕方ない。 春樹さんと同じ位に、慎二は辛い思いをした。 でも…… 「慎二……本当にごめん。ずっと謝りたかった。本当はあの時に言わなきゃいけなかったのに、また繰り返してごめん……」 泣きながら謝る春樹さん。 慎二はしゃがんで、春樹さんと同じ目線で話した。 「もういいんだよ。わかってくれたんならそれでいい。でも、お前が謝る相手は俺だけじゃないはずだ」 春樹さんは、あたしと春人さんを見て、静かに腰をあげた。 そして、涙を拭うとあたし達の前まで来て、頭を下げた。 「ごめん……本当にごめん……」 「春樹さ……」 急に謝られて、少し困惑した。 春人さんは複雑そうな顔をして、一瞬あたしを見る。 そして、春樹さんに頭をあげるように言った。
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