第3話

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「でも……彩香にキスしちゃったし……海原君が僕のこと嫌だろう……?」 気まずそうに春人さんが言うと、慎二はにっこり笑った。 あ、何か企んでる顔だ。 「まあ、簡単には許せねえな。今度、俺のバイト先で皆に何か奢れよ。春樹と割り勘でな。あと、彩香のこと呼び捨てにするのやめろ」 「わ、わかったよ……」 最後辺りを、黒いオーラを出しながら話す慎二に圧倒されて、春人さんは頷いた。 そう言えば、あたし春人さんに呼び捨てにされてたんだ。 気にしてなかったけど、改めてみたら何か違和感あるな…… なんて考えてたら、春人さんがあたしに話しかけた。 「森川さん、ごめんね。君の事は諦めるよ。海原君が相手じゃ勝てる気がしないからね。あと、結婚の話は無かった事にしてね」 「は…………?」 「げっ!」 春人さんが結婚って言った瞬間、慎二は眉間に皺を寄せてあたしを睨んだ。 ちょ、何余計な事言ってんのよ!! 慎二に誤解されちゃうじゃん!! 「……どういう事だよ彩香」 素晴らしいほど笑顔であたしを見てくる慎二。 ヤバい。ちょっと怒ってる。 「いや、あの大した事ないの。春人さんが勝手に「森川さんが、僕のプロポーズの返事を考えてくれていたみたいなんだけど、もう僕は、森川さんにそんな気持ちは無いから、取り消しにして欲しいって言ったんだよ。」 あたしの言葉を渡って、春人さんがまた勘違いぶりを発揮してべらべら喋る。 いや、考えてないよ。断ったじゃん! なんでまだ勘違いしてんのよ! 「…………………」 無言で此方を睨む慎二。 もう笑ってなかった。 「……お前も俺に何か奢れ」 「ええっ!?」 あたし、被害者なのに! でも、慎二に逆らう勇気なんて何処にも無く、あたしは渋々頷いたのだった。
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