第3話

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「…………あの……ずっと気になってたんだけど」 ちょっと空気読めてないかもしれないけど、控えめに手をあげた。 皆が、きょとんとしながらあたしを見る。 軽く咳払いをして口を開いた。 「あの……なんで慎二が学校にいるの?もしかして、春樹さんと同じ方法……?」 慎二は、退学したはずだから学校にいるはずないのに、すごく気になっていた。 でも、春樹さんは違う学校の制服を着てる。 ……どういう事……? 首を傾げていると、慎二が口元を緩めて言った。 「ああ……俺、再入学したから」 ……………は? え、いやちょっと待って。 え?再入学?? 混乱して頭を抱えていると、春人さんが感心したように話した。 「へぇ、試験を受けたのかい?」 「試験?」 春樹さんは、無表情で立っている。 慎二が再入学した事は、あまり興味がないらしい。 「俺、無理矢理退学させられたけどさ……やっぱり卒業したかったんだ。だから学校に再入学出来ないか頼んでみたんだよ。勿論、初めは断られた。でも、頼み続けたら試験を受けて、全教科95点以上とれば、再入学を認めるって言われたんだ。学年トップって事もあって、特例だぞって言われた」 「で……とれたんだ……?」 「ああ。勉強したら全教科満点とれた」 満面の笑みで話す慎二になんか急に脱力感がした。 ……でも…… 「良かった……」
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