第4話

3/20
前へ
/197ページ
次へ
「そういえばね、大林風邪で休んでるの。明日には学校来るって」 「大丈夫なのかよ?」 「大丈夫らしいわ。バカは風邪ひかないって言うけど迷信だったみたいね」 呆れたようにため息をつく恵美ちゃん。 なんだかんだ言っても心配なんだろう。 元気がないように見えた。 ふと考えたのが、もしかしたら神宮寺さんも風邪で来れないのかもしれない。 メールしようと思ったけど、あたしは、神宮寺さんのメアドも携帯番号も知らない。 連絡手段がない…… そんな状況に困ったような顔をしていると、慎二が不思議そうに聞いてきた。 「お前、どうしたんだよ?」 「神宮寺さん、入学式から来てないの……まだ入学してから全然経ってないけど、ちょっと心配になっちゃって……でも携帯番号やメアド知らないんだ」 ため息をつきながら言うと、慎二が携帯を差し出してきた。 きょとんとしていると、急にいじりだし、携帯の画面をあたしに見せてきた。 そこに書いてあったのは『神宮寺鈴華』の文字だった。 「な、なんで慎二が知ってるの!?」 「俺、前に婚約がどうのこうのってあっただろ?あの時にオッサンに無理矢理アドレス帳に入れられたんだよ。消す必要もないから放置してた。使えよ」 お礼を言って受け取ると、神宮寺さんの携帯に電話をかける。 何度か呼び出し音がなって、ガチャッと言う機械音がした。 「もしもし……?」 久しぶりに聞いた声は、慎二からの電話にも関わらず弱々しかった。 やっぱり、風邪ひいてたんだ。 頭に響かないように優しく声を出した。
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2506人が本棚に入れています
本棚に追加