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「もしもし?森川ですけど……」
「森川さん?なんで慎二様の携帯からおかけになってるんですの?」
急に弱々しくなくなった声に違和感を覚えた。
あれ?普通に元気じゃん。
「神宮寺さん、学校来てないけどどうしたの?風邪引いたの?」
そう聞いた時、神宮寺さんが焦ったような声で話した。
「た、助けてくださいませ……!」
「!?」
急にそんなことを言うから胸がざわついた。何か、大変な事に巻き込まれてるのかもしれない。
あたしも、焦りながら話しかけた。
「ど、どうしたの!?何かあったの!?」
「……家から出られないんですの……」
「え……?」
やっぱり、何かあるんだ……!
もしかして監禁?
一体何があったの?
「実は……私、入学式の日に風邪を引いてしまって……すぐ治ったんですけど、お父様がすごく心配性で……なかなか学校に行くのを許してくださいませんの」
……なんだろう。
すごく神宮寺さんの気持ちがわかった。
あたしのお父さんも、知っての通り極度の心配性。
あたしが、風邪をひいた時は真っ先にお父さんが家に帰ってきて、ずっと側で泣いていた。
『彩香ァァァァアァッ!!!死ぬなァァァ!!嫌だあぁあ!辛いか?辛いか?ああ父さん代わってやりたいっ!!風邪の菌よ父さんに飛んでこいやァァァッ!!』
泣きながら喚くので、耳障りだし目障りでしかなかったし、いつもお母さんにボコボコにされていた。
正直、いつも治るのが遅かったのはお父さんのせいだと今なら断言出来る。
それに、熱がひいても1ヶ月は安静とか言う意味のわからない事を言われ、お母さんがお父さんをまたボコボコにして、やっと学校に行けたぐらいだ。
神宮寺さんも、きっと完治してるのに、学校に行かせてもらえないんだろう。
あたしは、他人事には思えなくて、涙を流しながら話す。
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