プロローグ

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創立してまだ20年しか経っていない他のギルドと比べると若いギルドである平和への礎は、入口である大きめな玄関以外は全く普通であり、まるで2階建ての1軒家のようであった。 しかし、2週に1度しか掃除をしないため、窓には小さな蜘蛛の巣が張られており、ベランダから吊るしている看板は、埃が溜まって少し汚れており、お世辞にも新しく綺麗なギルドとは、言えるものではない。 まだ開かれていないカーテンや窓を見る辺り、まだ“あいつ”は起きていないようであり、それを確認したマスターは、肩を落として嘆息を吐くと、小さく舌打ちを鳴らして、ポケットから取り出した銀色の鍵で玄関を開けた。 中に入ると、彼女は何やら嗅ぎ慣れた変な臭いを感じる。彼女は、またかっと怒りの隠った声で呟くと辺りを見渡し、それの発信源である“あれ”を探すが、1階にそれらしき物は見当たらない。 彼女は、取り敢えず換気をするため、1階の全ての窓を開けると、郵便受けに入っていた“依頼書”と国から届いた新聞を自分の年期の入った大きな黒いデスクに整えて置き、続けてその前に配置してあるテーブルとそれを挟むようにある二つの長椅子の上を片付けた。
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