はじまりのはじまり

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「ヤだよう……アズがいいよう………何でアズも、この時期にコンクールなのぉ?」 本当に、手のかかる子供だ。 手が掛かりすぎて、時々放りたくなってしまう。 まあ、バカな子ほど何とか、という言葉も、あながち外れてはいないが。 「それこそ今更。 一々ハナの都合に合わせてコンクール受けるなんて、そんなの無理でしょ?」 「あぅっ……だってぇ………」 「伴奏なんて誰が弾いたって大して変わんないから。心配しなくても大丈夫よ」 「でもぉ………うっうっ」 英絵はまた、視線を下に落としてしまった。 これ以上のやり取りは無意味だ。 梓はそう考えて、ちらっと英絵を見やる。 (え、コイツ、何で下向いてんの?) 恐がらせないように出来るだけ笑顔で優しく話してやっているのに、コイツ(英絵)は顔を上げようとも泣き止もうとしないのか。 え、泣いてんのって私のせいじゃないの? ようはコイツの努力不足ってこと?      
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