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「あっ、アズはおかしいと思わないの!?」
「何が、」
「私たちまだ高二だよ?花の女子高生だよ?遊びたい盛りじゃんっ!
………なのになんで学校で朝から晩までコンクール練習?私コンクール出るなんて言ってないのに!」
「それだけ期待されてるってことでしょう。
それに……」
梓はそう言って、わざと一呼吸置いてみせた。
「そっ、それに……?」
案の定梓の作った間に堪えられず、英絵が身を乗り出してくる。
英絵が息を飲むのが分かって、あまりの単純さに、梓は笑ってしまいそうになった。
「あんた目標ない限り練習しないでしょ。
先生たちにもあんたのサボり癖バレてんのよ」
「そんな……」
肩を沈ませ、目に見えて落胆する英絵が可愛く見えるから不思議だ、と梓は思う。
「だって私、今の時期に楽器弾くの苦手なのに!」
「そんなの知ってるよ。湿気多いの嫌だからでしょう。
……私が何年あんたの伴奏してると思ってんの」
「あうぅ……そっ、それに私!去年の冬にあったコンクール散々だったしっ」
「それはあんたが寒くて無理とか言ってサボったのが原因。
だから今回はこうして早めから――
「そうじゃないって!」梓の言葉に噛み付く様にして出た英絵の言葉が、梓の動きを止まらせた。
大きな目を更に広げてこっちを見てくる梓に、英絵も思わずびっくりしてしまった。
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