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【チュン…チュン…】 『…ん……』 鳥… 闇の中、鳥の声が聞こえた 烏の声ではない もっと可愛らしい小さな鳥 …朝か いつにも増して瞼が重い 身体も何だか酷く怠い 指ひとつ動かす気にならなかった でも何故だろう、すごく…温かい ゆっくり…ゆっくりと重い瞼を持ち上げる 最初に見えたのは茶色 天井…? そのまま辺りをゆっくりと見渡せば、ぼやけた視界に見慣れぬ風景が映った ここは… 訳が分からぬまま目線を下へと向ければ、身体は温かい布団の中 そうか… 自分はまだ夢の中に居るらしい 烏が鳴き回る灰色の空、澱んだ空気と死人の山 それが自分の居場所 居るべき場所 こんな所に居る筈無いんだ 鬼の俺がこんな場所に… だが、いくら目を瞑っても身体を包む温かい感触と小鳥の鳴き声は消えず それどころか澄みきった空気が肺の中一杯に入り込んでいくのを感じた 心地が良かった 夢ならいっそ覚めなければいいのに けれどこれは… 意を決し、閉じていた目を開けむくりと身体を起こす 途端 『……い゛ッ!!…』 脇腹に鋭い痛みが走り抜けた まるで刀に…刺された様な 気づかなかったが、身体中からじわじわと鈍い痛みがする 先ほど強い痛みが走った箇所を見てみると、それ以前に自分の姿に目を見開くことになった 傷だらけの身体にぶかぶかの着流し 傷だらけなのはいつものことだが、見たこともない着流しを着ている…というより羽織っているに近い状況だった わき腹には薄っすらと血の滲んだ包帯が巻かれている 『何だ…これ』 どういうことだ? ここは一体どこなんだ? 俺は…どうしてここに居る? 恐怖だった 知らない場所 知らない着流し 知らない傷 頭をフル回転させたが、まったくピンとこない いや…もしかして 寝ている間に人に捕まったのか…!? 傷は無意識に戦ったもの!? そうだとしたら…!! とにかく逃げよう 動く度に脇腹の傷に強い痛みが走ったが、そんなことを考えている暇なんてない 帰るんだあの場所に… 俺の居場所はあそこだけ ずるずると重い着流しを引きずり、這う様に布団を抜けると 目の前に木で出来た刀が置いてあった それを拾おうと手を伸ばし、ふと横に目線を向けると 『………ッ!!』 男が目を見開きこちらを見つめていた †
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