魔王は幻想入りした。

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「まぁ、そういうことだから私は早速住居作りのための材料を探させてもらうとするよ。」 「わかったわ、それじゃあ……。」 そういい残すと紫は、スキマを開いて帰っていってしまった。 ふむ、それでは早速作り始めるとするか。 まず材料は、いまや物入れと化している『パンドラ』に入っている緋石とオリハルコンの合金を外壁に。 土台の地面はどこかの土地から持ってきたらいいか。 中の装飾は適当にするからいいとして、ついでにちょっとした湖や森も欲しい所だな。 そこら辺も何処かから持ってきて、あとは忘れてはならない温泉。 これは外界にある源泉を盗って(誤字にあらず)くればいいか。 まぁ、あとはその時のテンションやら何やら次第だな。 ……じゃあ、構想も出来たところで形にするかな。 「造型術式99『architecture(建築)』、開始。」 私のその一言を合図に、背後に出現した歪みから次々と材料が出現し、何も無い地面に材料が積み重なって、私が想像した通りの形へと姿を変えていく。 数分もすればそこには、森と湖のある、淡い赤色の光沢を持った外壁の城が出来上がっていた。 うむ、我ながらいい出来だ。 元の世界にある城より半分くらいの大きさだが、まぁいいだろう。 あとはこれをこうすれば…… 「浮遊術式3番『float(浮かぶ)』、発動。」 次の言葉を放つと、出来上がった城が地面と共に浮かび上がりだした。 やはりというべきか、地面を引き剥がして浮かび上がっている為、ゴゴゴゴゴ……と音をたててしまう。 それも数分で鳴り止み、完全に浮かび上がると、まさに天空に浮かぶ城が出来上がった。
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