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「それじゃあ、先行するからちゃんとついて来いよ?」
「なに、問題ないさ。」
「なら良いや。
んじゃ、行くぜっ!」
掛け声を一つ発し、魔理沙が目的地へと向けて加速し始めた。
それに続いて、私も空中に作った足場を蹴り、後を追う形で空を跳んで行った。
道中に目的地の説明を聞いてみた所、
曰く、その場所は紅魔館と呼ばれ、『吸血鬼(バンパイア)』が主として住んでいる。
曰く、その館の地下に目的地であるヴワル図書館があり、それよりも更に下には吸血鬼の妹が軟禁されている。
しかも、図書館の司書は喘息持ち。
曰く、門番は格闘家で気の使い手。
だが、居眠りの常習犯。
曰く、吸血鬼にはカリスマ(笑)しかない。
曰く、メイド長にはPADネタは厳禁。
ただし、鼻から忠誠心が溢れ出る。
等々、中々にして面白い内容の話が聞けた。
代わりに私の経験談(勇者ご一行を追い返している時や、別世界の魔王との対戦話等)を軽く話してみると、何故か気遣われてしまった。
「っと、着いたぜ。
ここがさっき話していた紅魔館だ。」
私達はいつの間にか着いていたらしく、深紅色に染まった館が目前に建っていた。
見てみると、所々黒いラインの入ったゆったりとしたインナーの上から、緑色の中華民族衣装風な服を着た紅髪の女性が、星のバッジの付いた緑色の帽子を深く被り、門にもたれた状態で眠りこけていた。
「おい、霧雨よ。
あれはいつも通りなのか……?」
「いつも通りで平常運転だぜ。」
「では…………いつの間にかアレの頭に刺さってる、あのナイフもいつも通りなのだな?」
「見慣れた光景だぜ。」
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