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さて、出口から出て来たはいいが、うっかりここがどの辺りなのか全くわからないという事態が発生してしまった。
言うなら、始めて都会にきた田舎者状態だ。
今回はその逆だな。
ちなみに、いま私がいるのは空中で、山々が辺りに見える場所だ。
山の各地に有翼種が多数いるが、まぁ気にする必要も無いだろう。
そんなことより現状の打破だ。
たしか紫が、私が来たらこれを叫んで呼べといっていたな。
それなら早速呼ばせてもらおうじゃないか。
「ゆっかりんりん!!ゆっかりんりん!!
紫!!私だ!!結婚してくれ!!」
「はぁ~い、喜んで♪」
試しに呼んでみると、ゆったりとした服装の、頭には帽子を、手に日傘を持った金髪の女性、八雲紫がなにもない空間にスキマを開けて現れた。
まさか本当に来るとは。
だが、何故わざわざ結婚してくれだなんて呼ばなければならない?
「久しぶりだな、紫。」
「本当に久しぶりね、魔王。
何年ぶりかしら?」
「約三千年位じゃないか?」
確か始めて会ったのは、この星にある呉という国に遊びに行った時だった筈だ。
あの国だけじゃなく、あの地域の武将や兵の殆どが美女、美少女だったのは驚いたな。
今はなんて名前の国だろうか。
「もうそんなに経ったのね……。
時間というのは過ぎるのが早いわ。」
「まぁ、私はその過ぎた時間を軽く弾けるほどに生きている訳だが。」
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