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     末っ子というのは結構得な身分だなあと、僕はしばしば思っていた。  そりゃあ、直の上の兄貴にはよく玩具を取り上げられたり菓子をさらわれたりしたけれど、それより上のお兄ちゃんやお姉ちゃんとなると裏があるのではないかと思ってしまうほど優しかった。  何でも人間、長年持っているものには愛着が湧くそうで、お兄"ちゃん"やお姉"ちゃん"は僕にその『愛着』というものを深く感じていたらしい。  その頃のことが影響して、僕は高校一年になった今でも、同学校の三年である直接の兄を兄貴と呼ぶし、大学二年の兄、社会人三年生の姉のことは兄"さん"、姉"さん"と呼ぶ。  ・・・末っ子というのは兄や姉の陰に隠れてしまって可哀相なものだ、と言う人に、僕は度々出会ったことがあったが、それはあまり期待され過ぎずに済むという意味でもあり、僕自身にとっては大きなメリットであった。
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