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 死ね、むしろ生きろ、といった他のお客様の心ない罵倒に胸中では号泣しながら、僕は笑みを崩さない■ちゃんと見つめ合ってみた。  ■ちゃんは僕の後輩である。  小顔。二重。唇薄め。鼻低め。肩までのショートカットの黒髪はサラサラ。綺麗な八重歯は新庄の歯と同等とまでは言わずともよく手入れされているらしい綺麗な白だった。胸はそんなにない。  とても身も蓋も無い言い方をすると、可愛い。少女的可愛さがある。  学年は中学三年。受験生。(勉強しなさい受験生、と春頃に叱咤したらセンター模試勝負で完敗して、その上罰として昼飯を奢らされた。僕なんか及びもつかない秀才らしい。ガクリ)  同じ中学校だったわけでも何でもないのだけれど、ひょんなことでちょうど一年くらい前に知り合った、女の子だ。 「●先輩、グレープジュース返してくださいなのですよ」 「嫌だね」 「今日は先輩を頼る気でしたから財布は持ってません、そんな状況でグランドピアノケーキを頼んでみるとどうなるか、わからないとはいわせないのですよ?」 「はいどうぞこちらグレープジュースになります」 「どうもなのですよ」  ・・・■ちゃんの唾液入りグレープジュースと言えど、一切れでゼロが3個つく高級ケーキ相手では天秤にもかけられない。  僕から受け取ったグレープジュースのストローに、なぜかベロリと舌を絡ませてから■ちゃんはチューチューと紫色の液体を吸い上げはじめた。 「なかなか、おいしいのですよ」  変わった口癖はご愛敬。 「あ、店員さん。グランドピアノケーキお願いしますなのですよ」 「ちょっと待って■ちゃん僕グレープジュース返したよねこれ約束と違・・・って店員さん!? なんでニヤニヤしながら普通にオーダー通そうとするんですか嫌だちょっと待ってあ゙あ゙あ゙~~~~!!」  僕の懐を心配してくれる人は、この場にはいないみたいだった。
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