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説明不足で申し訳ないが、今ここは昼下がりの中心街なわけで、おまけに休日。人通りはとても多い。先程から視線が痛い。
だけど、■ちゃんは僕と違い、そんなものには文字通り目もくれない。
それどころか、
「ん」
目を閉じて、艶やかな唇を僕の目の前に押し付けてきた。
ドクン、ではなく、バクリ、と心臓が不健康な跳ね方をし、そのせいで視界が立ちくらみよろしくフラフラと揺れる。
・・・・・・字面そのまま眼前にある■ちゃんの顔と唇を僕はぼうっとしたまま見つめていた。
しかし、やがて■ちゃんの肩と手を離し、3歩くらい距離をとった。
■ちゃんはそれを感じ取ってパチリと目を開け、僕を凝視しながら立ち上がる。
そして唇を噛み、ジリジリと左足で地面を踏み締めた後、ブンッと腕を振るって平手を繰り出した。
パンッ!! という発砲音もどきと共に、僕は街中の石畳に尻餅をつく。
叩かれた頬をさすっていると、■ちゃんは足早にどこかへ歩み去っていった。
・・・・・・今日、三度目のビンタだった。
ビンタの勢いで■ちゃんの手から吹き飛んだバニラソフトのコーンは、中に残っていたクリームを撒き散らしながら痛々しく地に這いつくばっていた。
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