第一章 新田 笑美

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これがすごい大好きだった。 母は専業主婦。 気が強い一面もあり、 父がよく、 『お母さん怒ったら怖いからな。あんまり怒らせいようにしような』 といつも何かあると私の部屋に逃げてきた。 セールスも有無も言わずに追い返すほどだ。 だから私もあまり悪い事はしなかった 幸せだった 小さい幸せだけど、それで十分だと思っていた。 2,父の死 私が小学校に上がる時の話 その日父とランドセルを買いに街に繰り出していた 父が休みの日のいつもの光景。 天気はすごくよかった、デパートに行き、ランドセルが売ってるコーナーへ。 子供がいっぱいいた 人ごみで歩くのも、大変だった。 人の熱気で空気が歪んでいた。 父が 『すごい人』 『これがほとんど笑美の友達になるんかなぁ』 と言いながら笑ってる。何も返せなかった。 もう暑くて、ぼーっとしていた。泣きまくる子供の声。 怒鳴るお母さん。 走り回る子供。 不安になり、父の手をギュッと掴んだ。 それを見た父は私を抱っこしてギューってしてくれた 暑いけど何か違うぬくもりを感じた。 父が 『早く選んでアイスを食べに行こう』 と言いながら、人混みを掻き分け中に入って行った。 いろんな色のランドセルがあった。
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