汽車

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「田辺くんって、木が好きなの?」 ある日の昼休み。 いつものように校舎裏に行こうとしたとき、彼女は話しかけてきた。 「えっ、な……なんで?」 この時私は物凄く挙動不審だったかもしれない。しかし、それはしょうがない事だった。普段からクラスの皆と話さない私が、女の子と普通に話せるわけがなかった。 「だって、昼休みに校舎裏の木をじっと見てたでしょ?」 それに彼女はとても可愛く、私の初恋の相手だった。 「べ、べつに。それじゃっ」 形容できないなにかに堪えられなくなった私は、急いで校舎裏に走って逃げていった。 その日は、木漏れ日を見なかった。 彼女が私を追ってきてるんじゃないかと期待して、この場所に来る道をずっと見ていた。しかし彼女が来ることはなかった。
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