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ある日、私が縁側で庭の盆栽を眺めていると、不気味に電話が鳴り響いた。
受話器を取るか取らないか迷う。
留守ということにしようか、いや…
なかなか鳴り止まないため受話器を上げた
「…もしもし」
わざと少し面倒がった。
「もしもし!?あ、ばーちゃん!?久しぶり、俺だよ、オレ。」
私の脳裏に何かがつっかかった。
これはもしや、今度々問題になっている“オレオレ詐欺”というものではないのか。
ごくりと固唾を飲み、注意深くとぼけてやった。
「はて、どちら様かしら??私に孫なんていたかねぇ」
「…」
少しの沈黙が続き、電話は切れた。
よし、詐欺にかからなかったぞ。年寄りをなめるんじゃないよ。
そう優越感に浸り、また縁側に戻る
履歴に残った“公衆電話”の表示が、ゆっくりと消えた。
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