- 僕は -

3/4
前へ
/11ページ
次へ
-さよなら、はお別れの言葉じゃなくて また会うための約束なんだよ- 少し伏し目がちに歌っている彼女を見て、僕は思った いつまでこの子を守ってあげられるだろう いつまでこうして幸せに過ごしていられるだろう 僕には彼女を不安にさせたいようにどんなときも笑顔を絶やさず、いつでも味方で側にいて、時には怒り、時には一緒に笑い、涙を流すことぐらいしかできない。 だがもし僕がいなくなったら、彼女はどうなるだろう? 考えれば考える程恐くなる。 彼女はいわゆる“良いところのお嬢さん”だ。 貿易企業の社長である父親は年中海外を飛び回り、妻である母親もつきっきりだ。 そのため幼い頃からまともに両親からの愛を直接感じていない とても素直な子だが、依存性が高く、過度の心配性なのだ
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加