第1章 ハジマリ

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   ダメな父親でゴメン   こんな主旨のコトバが紙を埋め尽くしていた。母親は現在3つの仕事を掛け持ちながら借金取りに返済をしているが、少ししか減っていない。幸い借金取りはそこまで厳しい人ではなく、返すことが分かってからはそこまでは辛く当たらなくなっていった。しかし、俺たちが夜逃げしようと考えていることを知ると、俺たちの家から出させないという剣幕で俺たちの家を固めた。現在は裏口から出て、友達の山下家に居候させてもらっている。   (ここもバレればすぐに出て行かないと親友にも迷惑がかかってしまうな。)   「おい、人を殺しそうな目をしてるぞ。」 山下はそんなことを真剣な眼で言いながら 「そんなに心配するなよ。大丈夫だから。」 根拠のない『大丈夫』ほど脆いものはないような気もするが、俺のためを思ってくれているから 「あぁ。ありがとな。」 と伝えた。くよくよ考えても仕方ないか!と思い、時計を見て戦慄が走る。  
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