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「一体何が? ……ふわっ!?」
何かに受けとめられたような柔らかい感触が伝わってきた。なんか知らないけれど、助かったらしい。生きてるという事実が――。
「怪我、ないか?」
低くてよく響く声が私の後方から聞こえた。
「うん、ないよ……?」
返事をしている途中で気付く。果たして自分は誰と会話をしているのだろうか?
そんな疑問の答えを確かめるべく、自分の後方を確認する。
そこには大人びた少年がいた。たぶん、年上。
180センチほどの身長で私から見れば巨塔に等しい。
長めの黒い髪が僅かに、目にかかっている。体はしっかりとしていて頼り甲斐のありそうな印象を受ける。
そんな彼が後ろに居た。体は彼に支えられていることに気付いてしまった。
つまり私は今、見ず知らぬ男子に包容されているわけだ。
時が止まったように動かなくなった後、顔がどんどん熱くなる。恐らく、林檎の発育を早送りでみるように紅潮しているのだろう。
だが、無理もない。彼氏いない暦と誕生から今日に至までを=で繋ぐ事ができる私なのだから。
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