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始まりの時
「やべーよ…」
ツァイスは机に突っ伏しながらそう呟いた
ぐぎゅるるるる!!
凶悪な腹の虫の音を聞きながらポケットから財布を抜き出した
……………
なにも出ない
「はぁ…」
ツァイスは大きなため息をついた
不確実な情報を確実な情報に変える者…情報士。
大きな危険性を伴うために志す人間は少ないが多額の報酬が出る
だがツァイスはこの情報士という仕事を気に入っている
めんどくさい相手は断ればいいし、多額の報酬が出るのでしばらくの間は自由に出来る
―特に自由が素晴らしいんだが…
ここでツァイスは立って叫ぶ
「金がもうねぇぇぇぇ…!!」
ぐぎゅるるるる!!
「あ…やべ、叫んだら余計に」
茹でたほうれん草のようにふにゃっとまた机に突っ伏した
そんな時
『マスター・ツァイス、依頼が届いています。受理致しますか?』
機械的な声がする
腕に装着している小型通信機から画面が表示される
「んなもん受けるに決まってんだろ!」
乱暴に表示された画面のYESという項目を押す
すると依頼内容をナビが告げる
『アスタレンの秘石の存在を確認せよとの依頼です。』
「は?」
呆気にとられるツァイスにナビは更に追い討ちをかける
『依頼者は不明です。報酬はアスタレンの秘石、という事です』
「はぁぁぁぁぁぁっ!?」
彼の絶叫は世界中に響いたとか響いてないとか
この一通の依頼で彼の運命は、かなり変わったという
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