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「起きて下さいませ、サクウェル様」
そこは白に統一された場所
窓もない
ただ広い部屋の中央に大きなベッドがあって1人の薄い赤の猫っ毛の髪の少年が寝ていた
「ん…まだ眠いよ…ベク」
サクウェルは毛布にくるまって隠れた
「ではサクウェル様、ご報告だけさせて貰います」
ベクと呼ばれた青年は冷静に対処し、内容を報告した
「神殿から連絡がありました、秘石は『ない』との事です」
サクウェルは突然起きてベクに尋ねる
「それ…ホント?」
猫のようなつり目の紅い瞳と毒を含んだような笑みを見せて。彼を例えるとすれば誰もが猫と言うだろう
「本当でございます」
ベクがそう告げると嬉しそうに笑う
「神様…いや秘石の導きだね」
サクウェルは自分のはだけた服の隙間から心臓の辺りにある右半分しかない刻印を見て、まるでそこに誰かがいるように触れた
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