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「…ツァイス、お前もう帰った方がいい」
ノヴァの言い放った言葉にツァイスはムッとし反論する
「嫌だ、別にお前の言うことを聞く筋合いはないし」
「じゃあ…毎回こんな目に合ってもか?」
こちらを向かず、俯きながら彼女は続ける
「毎日あんな魔物が来て、お前を襲う。きっと寝るときも人がいる街でさえ」
「…………」
黙ってツァイスは聞く
「今回は生きていられたが次は死ぬかもしれない」
それでも…いいのか?、と振り向いて質問の答えを問う
―こいつ
ツァイスはクスと笑い、ノヴァの問いに答える
「心配はありがたいけどよ、オレは勝手にするって言ったよな?」
「だが…!」
不安そうな顔で反論しようとするノヴァに言う
「だからオレが勝手について行ってどこかで死んだとしても、オレの勝手。大丈夫だっての簡単に死にゃあしねーよ」
ニッと笑うツァイスは手を差し出す
「行こうぜ?」
ノヴァはその手とツァイスの顔を交互に見つめて遠慮がちに差し出された手のひらに置く
不意に手をぎゅっと握られ、泣き出したいような気持ちにさせられた
「ありが…とう」
照れくさそうに彼女は笑った
「…!」
その表情を見て、何故だかツァイスはドキリとさせられた
「どうかしたか?」
「い…行くぞ!」
意識すると余計に恥ずかしくなって早歩きでツァイスはバイクに向うのをノヴァも小走りで追いかける
そして2人はバイクに乗り、走り出す
2人の旅は始まった
これから先に起こる事を知らずに旅は始まる
「なぁ…ツァイス、腹が減った」
ぼそりとノヴァは呟いた
「あんだけ食っただろうがぁぁぁぁぁ!!」
ツァイスの叫び声は虚しく空へ消え去った
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