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「ふぃ~助かったノヴァ」
安堵のため息をツァイスはついた
「ツァイス、彼女は?」
神秘的というか謎めいた雰囲気を持つノヴァを見たジークはツァイスに尋ねた
「ああ…あいつはノヴァ、詳しい事は後だ!後!」
まずは目の前にある敵を退ける事を考え、何とか敵陣が退いたので助かった
「助かったよ、ありがとう」
ジークは優雅に礼をした
「王族が簡単に頭を下げんな、舐められるぞ」
ぴしゃりとツァイスは言う
「だけど…」
「んなもん適当に、助かった礼を言わせて貰おうってうやむやにしとけばいいんだよ」
その光景はやんちゃな兄とおとなしい弟の会話のようだった
「ツァイス、君はどうしてここへ?」
「なんて言えばいいんだか…」
「私とツァイスの依頼内容が同じだから旅を共にしていたんだが、旅先で情報屋からこの国の城が攻め落とされたのが本当なのかという依頼をツァイスが受けて急いでいる所にお前がいて今に至る」
的確に説明したのはいいんだが…
―王族相手にお前ってな
ノヴァは誰に対してもああいう性格なのが分かったツァイスだった
「ジーク、本当に城は…」
苦しそうに呻くようにジークは言う
「本当だよ。城も使用人も、そして父上も…あの集団に殺されたよ」
「嘘だろ!?」
「不意打ちだった、敵は化け物を連れて騎士団はほぼ全滅…」
驚愕した。まさか希望の国と言われたエルトラムが攻め落とさるなんて
「僕のせいだ…!」
「ジーク…」
―だいぶ参ってるな…騎士達の士気は少し上がってはいるがたった1人の家族の父親を目の前で殺されているのだから
「そうやって嘆いていれば何か叶うのか?」
暗い空気の中で口を開いたのはノヴァだった
「………」
ジークは何か言おうとしたが言えなかった
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