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世界は真っ暗だ。ぐるぐる回っているような…いや…天も地も感じない…浮いて…いる…? …ぃ………ぉぃ… 遠くから…声…が……? …おい…!…ろよ…!起き…よ! 「和己!!起きろよ!!!」 ガッと肩を掴まれて目が開いた。暗闇だった視界にぶわっと色のついた風景が流れ込んでくる。 気絶していたことをようやく自分で理解した。 助けた方が助けられた方に起こされるとは…なんだか情けないと思った。 周りにはギャラリーが出来ている。自治会のおじさんとか、よく見ると中学校時代の友達もいる。 頭が少しクラクラする気がしたが、なんとか起き上がれそうだ。 「俺…どんだけブッ倒れてた…?…恥ずかし…」とつぶやいてみた。 「俺も階段から落ちて、気失ったらしいんだ、でも、おじさんに起こしてもらって」と綾人が答える。 「そっか」 「おい君、怪我はないのか?まだ寝ていた方がいいんじゃ…」 そばのおじさんに言われて自分の体を一通り見てみたが、膝を少し擦りむいているだけだった。意外と軽傷だ。 「いや、もうホント大丈夫です」 立ち上がって、服の砂をはたく。 「和己~マジ大丈夫かよ??」 ギャラリーの中から声がした。懐かしい中学校の同級生の声。 「久しぶりに会ったと思ったらお前ブッ倒れてるしよ」 「でもごめんな、俺のせいでさ…」と綾人がうなだれた。 「いやマジ気にすんなって。擦り傷だけなんだからよ」 「お前は将来あるんだから頭打ってバカになったら困るだろ」 思わず口角が上がってしまう。 「いや何言ってんだよ」 なんだかもう大丈夫そうだったのでぺこりと頭を下げて礼を言ったあとお好み焼き屋へ急いだ。色々疲れて、もう死ぬほど空腹だった。
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