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ここのお好み焼きは二枚重ねである。間にボリュームたっぷりの焼きソバが挟まっていて、上には目玉焼きがドンと乗っている。値段は確かにそれ相応だが、屋台で食べられると思えばもうけ物だった。 「いややっぱボリュームあるなぁこれ!超腹いっぱいなんだけど」 射的の景品をチェックしながら綾人が言った。 「ん、おう」 思わずあいまいな返事になった。 正直なところ、まったく腹の足しになっていなかったのだ。いつも割と少食な和己だから、毎年半分も食べるとそろそろキツくなってしまうのだが今回ばかりはそうじゃない。昼飯も別に普通にとったのだが、最近疲れていたのだろうか。 ふと、鼻先を甘い匂いがくすぐった。 「あ、綾人ちょっと待って。俺クレープ買ってくるわ」 そばのクレープの屋台に足を向けると、愕然とした声が追ってきた。 「マジかよ!?昨日は学食のラーメン一杯食っただけで根ぇ上げてたのにか!?」 「ん~…ま、こんな日もあるだろ」 笑ってごまかそうとする和己を、綾人はじろじろと眺め回した。 「…ふぅ~ん…」 金もそんなになかったのでクリームとチョコのクレープにバナナは入れられなかったが、空腹ということもありかなりおいしく感じた。見てるだけで気持ち悪いと弱音を吐く綾人を尻目に、そうして和己はクレープもぺろりとたいらげてしまったのである。
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