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―ここは住宅街の一角、とある探偵事務所である。
『先生、事件です!』
僕は勢いよくドアを開けながら言った。
先生はいつものように小さな部屋の奥にある日当たりスポットで寝ていた。
『先生!起きてください!かつお節が飛んでいますよ!』
そう言われた先生は光より早く飛び起きた。
「ふにゃっ!?…なんだ、また事件か?」
先生はそう言うと髪を手入れしながら聞いてきた。
婚活してるからってそこまでしなくても…。
『はい、今回は殺人事件です。現場に呼ばれているので早くしてください。』
今回は緊急なので手早く伝えた。恐らく先生も理解してくれただろう。
しかし先生は一瞬真剣な顔にはなったものの、その後すぐにいつもの表情に戻った。
「お前が行ってこい。」
その言葉を聞いた途端に何かの緒が切れた気がした。
しかし、先生命令は絶対だから行かなくてはならない。
僕はなんとか怒りを抑えた。
『はい、分かりました。』
僕は素早く身支度を整えると聞き込みに向かった。
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