=灰色

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目をあけたら そこは森だった 身体がいたい、 落ちてきた時に身体を打ち付けたのかしら この前は槐が受けとめてくれたから 打ち付けないですんだのね 服についてる泥を軽く落とす ばさりと羽を広げると微かな痛みがはしった 翼も打ち付けたのね 思うように動かない 危ういふらふらとした飛び方で 黒髏の家を目指した 黒髏の家は直ぐに分かったわ だって街の中で一際目立つから この前、槐がやってたように そっと窓を開ける 「来ると思ってたよライ」 澄んだ低い声 薄暗い部屋の中で赤い瞳が私を射ぬいた 「生きていたのね。ふふ良かったわ」 ほっと一息つあた 私の所詮で死なれたら後味が悪いから 「1度は死んだが、生き返った、俺は何回死んでも生き返るから」 少し嘲笑かのような苦笑をもらした黒髏 強靱な身体と不滅な命をもつ悪魔 本で見たのに忘れてたわ 忌まわしの黒髏は不滅な命の持ち主なんだわ 「それより、お前は俺の安否を確かめに来た訳じゃないだろ?」 「えぇ、鋭いのね」 黒髏の口元が少し和らいだ 「ライ、槐は俺の嫁だ。ちょっかい出さないでくれる?」 にっこりと微笑み私に告げる黒髏 胸がチクリと痛んだ 「ふふ、嫌よって言ったら?」 天使と悪魔 結ばれても幸せになるはずがない わかってる だけど、  自 分 か ら 欲 し い  と 思 っ た の は   は じ め て な   の 「お前と結ばれるより槐は俺と結ばれた方が幸せだ」 胸がいたい チクリとトゲが刺さったよう 「それは、槐が決めることだわ」 ただの言い訳だと分かってる でも、でもっ 「随分、反論してくるな。お前だって頭では分かってるんだろ?」 ひんやりと冷たい手が私の額に触れた 「ただ心がついてけないだけで」 その手はすーっと私の頬をなで 胸にあてられる 「っ、」 何もかも見透かしたように ニヤリと笑いながら見つめてくる瞳に 腹がたった 「仕方ないじゃない...好きになってしまったんだもの」 もう自棄だった 「天使と悪魔が結ばれないなんて分かってるわよ...」 分かってる。 ちゃんと分かってる 「けれど槐を好きになっちゃったのどうしていいか分からないのよ」 槐が好きなの どうしていいか分からないくらいに好きになっちゃったの
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