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背の高い木々の葉から漏れる木漏れ日
さえずる鳥の声
かすかに漂う花の香り
この出会いは運命か、必然か
幾年もの時を越え出会った彼らは互いに戸惑っていた
「・・・変わった服着てるのね。」
「・・それはお前の方だろう。」
何と言っていいかわからず、とりあえず頭に浮かんだことを言ってみる
すると相手はこちらを見つめて落ち着いた声で返してくるのだった
両者は共に感じていた
互いの姿への違和感ともまた違った、何か小さな思い
それは心の奥の奥に、頼りなくも確かに見えた小さな光
新しい自分へのおぼろげな糸口
吸い付けられたかのようにお互い目を離すことができない
さらさらと風に揺れる、男にしては長い髪
澄み切ったような白い肌に華奢な体と端整な顔立ち
木漏れ日が差し込んでいてまるで光っているようだ
そして何故だか優しい香りがする
何故こんなことなったのか
何故こんな不思議な少年に出会ったのか
それを知るにはここから数刻時をさかのぼらなければならない
―――約5時間ほど前
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