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芳弘は、黙ってジュース代を取り出すと、俺の右手のひらにお金を乗せた。
「…これで、いいのか」
「毎度あり~」
お金も戻ってこれでお終い。
俺はそのはずだったのに。
「飯田君!これ、ジュースのお返し!」
放課後、俺の右手のひらにはラップで包んだ、見るからに手作りのマフィンが一個。
「午後の調理実習で作ったの。味見はしてるから、安心してね」
にこやかに微笑んで帰る彼女。
「…昌行」
冷たい声が背後に響く。
横井さん。
俺の身が安心できません…。
[FIN]
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